だいぶ前になりますが、東宝ミュージカル舞台の記録撮影の応援で、ゲネの下見に行った時の話です。
テクニカルがすごい舞台で、時間が全く間に合わなかったようでゲネが中止となりましたが、
そのまま場当たりを見学していました。
その時の演出家は宮本亜門さんでしたが、観ていて何に時間がかかっていたのかがわかりました。
それはお客様の目線誘導でした。
役者さんの位置、出ハケ、それに伴う美術等の位置を事細かく指摘されていました。
「そこにいると目線がいかない。」
「その美術が動くとそっちに目線が言ってしまう。」
等の言葉を伝えていました。
誤解されない様にお伝えしますが、
宮本亜門さんはとても優しい方でテクニカルスタッフ、役者さんにはとても気を使いながら指摘されていました。
これで気づいた事は、
「観劇はお客様が自由に舞台を見る様には作られていない」という事です。
目線誘導がされているのです。
私は大きな勘違いをしていた事に気づいた瞬間でした。
映像はシーン事に切り取る作業です。
舞台撮影、特に演劇撮影は難しいと言って辞めてしまうカメラマンさんがいます。
それはどこを切り取っていいのかわからない事が原因です。
「安全なグループショットだけを撮る。」
「台詞を話している人しか撮らない。」
こういう舞台動画は少なくありません。(Hakuaが言う「記録撮影」の撮り方です。)
演出家さんの目線誘導に気づく技術があればいいのです。
Hakuaが重要視している「作品の意図を感じる」事に繋がります。
「魅せる」DVD(舞台動画)へ進化する為にも
「作品の意図を感じる技術」を鍛えなくてはいけません。
次回、引き画の使い方